娘が自閉症と判るまで

3歳頃までは、特に娘に違和感を感じることはありませんでした。

自閉症のサインをいわれる、クレーン現象や、目が合わなかったりといった行動もありませんでした。

 

2つ年上の兄(後に、学習障害であることが分かります)に手を焼いていたこともあって、

良く寝るし、噛みついたりしないし、

”この子は女の子だし、楽に育ってくれる子だ”と勝手に決めつけていました。

 

おかしいな、と感じるようになったのは3歳を過ぎてからです。

どうにも人見知りが激しく、母である私が他人に預けてちょっとした用事をしようとしただけで、

天地を裂く勢いで泣きじゃくります。

それも、私がいない間止むことなくずっと続くのです。

ものに当たり散らし、周りがどんなにおだてようと、「イヤ!」の一点張り。

次第に誰も娘を預かってはくれなくなりました。

 

とにかく人見知りが激しく、公園に知らない子がいるだけで激しく泣きじゃくったり、

初めて行く場所では途端に不機嫌になり何をやっても「イヤ!」を連呼するばかり。

それでもまだ就園前のことですし、毎日に疲れつつもこの先よくなるだろう、と安易に期待していました。

 

幼稚園に入園してから、更に娘の異常行動は顕著になります。

とにかく、何をやっても幼稚園のトイレに行こうとしない。

体に良くないとのことで、日中私が来園してトイレに誘導する日々が1年近く続きます。

参観日でも、一人お遊戯をせずに廊下を走り回っていたり、

ケラケラと意味もなく笑っていたりといった様子でした。

 

その内に、行事の度に問題行動を起こすようになります。

運動会では徒競走の意図が理解できず、一人真逆の方向に走ってしまう。

ダンスでもぼーっと突っ立っていたり、「イヤ!」とふてくされ参加しない。

劇発表では舞台でじっとすることが出来ず、すぐに走り出してしまう。

 

普段の園生活でも、他の子とは目に見えて様子が違ってきました。

”寒い””暑い”としきりに駄々をこね、外遊びに参加しない。

図書室で借りる本は毎回同じもの、それが貸し出し中だとパニックになり「イヤ!」の連発。

給食は白いご飯以外口にしようとしない。

お友達と会話がなく話しかけられても無視、休み時間はずっとジャングルジムのてっぺんで過ごす、

などなど。

 

どうしてこの子は他の子と同じように出来ないのだろう。

私の育て方がすべて悪いんだ。

そんな想いが母である私を追い込み、

来る日も来る日も閉ざされた闇の世界を彷徨い歩いているような息苦しい日々が続きました。

 

苦しみながらも日々は流れ、やがて娘が年長になり半年が過ぎました。

娘の様子は相変わらずで、言葉の遅れもかなり目立つようになってきました。

言葉のキャッチボールが難しく、問いかけても全く関係のない言葉が返ってきたり、

毎日のように同じことをしつこく質問されます。

まるで壊れた機械と会話しているようです。

 

そして年長になったあたりから、「○○と言って」としきりに言い出すようになりました。

あまりにしつこく異様なので、ふとインターネットでその事象についてを検索してみました。

出てきたのは「言葉のクレーン」というワードでした。

クレーン現象とは、一般的に大人の手をクレーンのように見立て、

自分の目的のものへと誘導する自閉症児特有の行動ですが、

言葉に関してもクレーン現象というものが存在することを初めて知りました。

 

この子は目も合うし、クレーン現象もないから自閉症ではない。

まるでマインドコントロールのように私の中でそんな決めつけがあったのですが、

娘がクレーン現象をしていると知った途端に、凝結していた観念がふわっと溶解していきました。

 

――ああ、そうか。この子は、自閉症なんだ。

 

不思議と、気持ちが軽くなったのを覚えています。

長年解けなかった難問が、ようやく解けたような感覚でした。

 

小児精神外来はどこも予約がいっぱいで、電話すら繋がらない。

繋がっても診察まで半年待ちという状況の中、どうにかして診てくれる専門医を見つけました。

結果は、軽度の知的障害を伴う自閉症とのことでした。

 

今は来年の小学校入学に向け、特別支援級の検討と、療育方法についてを研究しています。

悲観的ではありません。

娘がどうして他の子と違うのか、苦しんでいた時期の方がよっぽど地獄でした。

担当の先生にアドバイス通りに日々の生活を改善し、習い事も積極的にさせ、

娘が将来的に社会で問題なく生きていけるように日々取り組んでいます。

やっと闇の世界から放たれ、一歩前進できた気分です。

 

これが、自閉症の娘を持つ私の体験談です。


アスペルガーADHD発達障害改善マニュアル




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