声が聞きたい!

間もなく6歳になる息子が幼稚園の年少さんだったころ、

当時通っていた幼稚園の先生が「今日、ゾウの絵を見て『ゾウ』って言ったんですよ!」

と嬉しそうに報告してくださったことがありました。

 

息子は、重い自閉症スペクトラム障害。

5歳を過ぎても発語がありませんでした。

もちろん当時も言葉は一言も出ておらず、

先生と私はようやく単語が出てきたかと手を取り合って喜んだものです。

 

しかし、療育先の先生にその話をしたところ、

「ゾウと言えたからといってゾウばかり言わせていたら、何を見ても『ゾウ』しか言えない子になるよ」

と言われてしまいました。

ですから、自宅でもゾウと言わせたいのをグッと堪え、他の言葉が出てくるのを心待ちにしていたのです。

でも、結局1年たっても言葉が自然に出てくることはありませんでした。

 

他の療育先や児童精神科でも、無理強いはしない方がいいとか、

言葉が話せなくても立派に生きている人はたくさんいるとか、後ろ向きなアドバイスを受けることが多く、

むしろ「お母さんは発語にこだわりすぎる」と叱られたことさえありました。

でも、親であれば、一言でいいから子どもの声を聞きたいと切望するものではないでしょうか。

 

その後、積極的に発語を促すトレーニングをしてくださる療育先を見つけ、

親子で毎日コツコツと家庭療育を続けた結果、

現在では2、3語文程度は話せるようになっています。

ただし、ペラペラと流暢におしゃべりができるわけではありませんし、

周りの人が聞くと不自然に聞こえる発音かもしれません。

 

また、印象に残ったフレーズ、気に入ったフレーズを突飛なタイミングで繰り返し言ってしまったりもします。

CMソングだったり、絵本の文章だったりならまだいいのですが、

療育先の先生が何気なく言った「おしっこ、ばいばーい!」をマンションのエレベーターの中で

何度も繰り返したときは、さすがに冷や汗を掻きました。

おかげで、以前は「ちょっと変わった無口な子」という目で見られていたのに、

最近は「ものすごく変な子」という目に変わっています。

 

それでも、言葉が話せるようになったことは至上の喜びです。
大好きなお弁当の絵本を持って私の膝の上に乗り、

好きなおかずを一つひとつ「卵焼き!」「唐揚げ!」と教えてくれる姿を見ると、愛しくて仕方ありません。

本当にそう思っているのか、私の言葉を真似しているだけなのかはわかりませんが、

ぎゅーっと抱きついてきて「大好き!」と言われると、涙が出そうになります。

また、言葉で自分の要求を伝えることができるようになったことで、

明らかに癇癪は減りましたし、笑顔が増えたように感じます。

 

この感動を味わいたい発達障害児のご両親は少なくないのではないでしょうか?

たとえおかしなことを言ってしまうことがあっても、

それでもいいから言葉を話してもらいたいと願っているご両親は、たくさんいるのではないでしょうか?

数多くの療育の選択肢の1つとして、

発語を促すような療育がもっと簡単に受けられるようになればいいのになぁと思います。


アスペルガーADHD発達障害改善マニュアル




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