自閉症の記憶力について、私の体験談をお話ししましょう。
私は、得意なことに関してはすっと記憶してしまうという特性があります。
半面、それ以外のことに関してはぞんざいな態度や無関心な態度を取ってしまうというアンバランスな面もあり、
それが誤解の原因になっています。
幼少のころは犬にすごく興味を持っていたと母から聞いています。
小学生になる前に大人の漢字を覚えてしまうくらい記憶力があった半面、
中学校では数学が苦手という面がありました。
高校はカトリックの女子高でしたが、同時に2つの言語を覚えるのが苦手で
スペイン語は得意なのに英語は苦手になったという点がありました。
こういった、「2つのことを同時記憶が苦手」というのが自閉症の特色ではないかと思います。
現在でも、こういった点を考慮し、職場では指示を一つずつ出していただいたり、
紙に書いていただいたりしています。
また、記憶すべきことが習慣化したりパターン化したりすると覚えやすかったり、
好きなことと結びつけて覚えたりするとわかりやすい点があります。
例を一つお話ししましょう。
2013年、NHKフランス語講座の生徒が元宝塚歌劇団花組トップスターの真飛聖さんでした。
私はそれまでフランス語には全く興味がありませんでしたが、真飛聖さんが出演するというだけで見始めました。
そしたら、心身ともに美人になった彼女にひかれ、あまりの美しさに
彼女とフランス語との蟻地獄に落ちてしまいました。
2012年の花組公演「サン=テグジュペリ」で取り上げられた「星の王子さま」を題材にしたフランス語入門書や
フランス語のシャンソンの本を買いあさったものです。
挙句の果て、仏検5級受験を決意し、受験・合格してしまうというありさま。
このように、好きな一つのことには長時間集中できる、
興味のあることにはとことん追求していくことでそれを記憶できる
というのが自閉症の記憶力の特色です。
それを生かし、芸術の分野で活躍されている方も少なくないのではないでしょうか?
半面、同時に二つのことを覚えにくく、一つのことに集中するともう一つのことが頭に入りにくいのがつらいです。
家族から一つ指示を受けているとき、他のことをしているともう一つのことを忘れてしまうという特性があります。
そのため、ある方にそれを相談したら、「紙に書いてもらっては?」とのことでした。
同時に二つのことがおぼえにくく、運動面にぎこちなさがあるなどして不適応を起こしやすい辛さ。
悩んでいるのはあなたやそのご家族だけではありません!