周囲が変われば生き方が変わる

発達障害は連続性の障害といわれ、

どこからが発達障害に当てはまるのかそのはっきりとした線引きがなく、

周囲からは「ちょっと変わった人」、「不器用な人」、「勉強がかなり苦手な人」

という印象を抱かれるところで終わってしまうことがあります。

 

これは、ある発達障害が疑われる小学生Aくんの事例です。

両親は共働きのため、0歳から保育園に通い、早い段階から集団の中で生活をしていました。

次第に周囲の同年代の子ども同士がお互いに興味を持ち、

遊びを通してコミュニケーションを持ち始める中でもAくんはとろうとはせず、

その後、卒園を迎えるまで仲の良い友達を作ることができずに過ごしていました。

 

それに加え、Aくんは同年代の友達と比較すると、ぬりえの仕方がまるで違っていました。

他の子どもが決められた枠にそって、好きな色を塗ることができていても、

Aくんは枠という決まりは無視し、グルグルと渦巻き状の何色かの線を描き続けるのです。

 

では両親はこのようなAくんのこの様子をみてどう感じていたのでしょうか。

実際に、この時点でAくんの両親はなんの心配もしてはいませんでした。

なぜなら、父は仕事に忙しく子供に関心がなく、

母親はアスペルガー障害だったため気づく力がなかったためです。

 

その後、小学校に入学したAくんは、学業でつまずきます。

ひらがなにはやっとでついていきましたが、足し算はほとんどできません。

漢字を覚えることはさらに難しいことでした。

 

周囲との関係をみても、やはりコミュニケーションが苦手で、友達もできません。

学業につまずいているAくんをみた母親は、なぜわが子が勉強についていけないのか、

何につまずいているのか、足し算の方法など自分には当たり前にわかることを、

どうやって教えたらよいのかと悩み始めます。

しかし、これは子どもの異変に気付いているわけではありません。

あくまで、なぜ勉強についていけないのか、という点だけに焦点が絞られているからです。

 

対して父親は、なぜつまずいているかということには関心を示さず、

子供の異変に気づくこともできないまま、スパルタ教育を始めてしまいます。

残念なことに、この家族を日頃から面倒見ている祖父母たちも「お勉強が苦手な子なのだ」としか思わず、

身近な家族の誰一人として気づかないまま時は過ぎていきます。

 

さて、何が一番の障害でしょうか。

コミュニケーションがとれないAくん、

勉強についていくことができないAくんに障害があるのでしょうか。

気づき、ありのままの本人を認める大人が周囲にいないことが

Aくんにとって一番の障害なのかもしれません。

 

すでに成人したある発達障害者が、子供の頃、学校より特別支援学級に行ってはどうか、

という話があったが、親が普通学級にと押し通した、

でももしあのとき特別支援学級に行っていたとしたら、つらさの程度は違っていたのかもしれない、

と話していたことがあります。

 

本人がありのままに生活できる環境を、自分を伸ばしていける適切な環境を

子供のうちから大人が一緒に見つけていけること、

そのためには子供に関わるあらゆる大人(家族、教育関係者、医療福祉関係者)が早期に気づき、

その子どもにあった環境に導くことが大切だと感じさせられる事例でした。


アスペルガーADHD発達障害改善マニュアル




広汎性発達障害 関連記事


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメント

お名前 *

ウェブサイトURL