私はグローバル発達遅延と診断されている男の子(5歳)を3歳の時から担当しています。
この二年間で発達障害については多くのことを学びました。
発達障害は近年とても研究されてきており、そして診断も細かく細分化されているように思います。
遅延を伴う子供たちは、多くの場合、いくつかの障害を重なって持っている場合が多く、
特に年齢が低い場合にはなかなか診断がつかないこともあるでしょう。
遅延があるのではないかとの疑いがあるときに一番大切なのは、私たち大人の学びです。
保護者、学校関連の施設のスタッフの関係者はよい連携プレーが必要不可欠となってきます。
専門家からのアドバイスをもらい、家と子供の社会生活の場で同じアプローチをしていきましょう。
これは健常児でも同じですが、家と学校、地域社会でコンスタントに同じアプローチをしていけば
子供たちは伸びる方向へすくすくと伸びていきます。
私の担当の男の子には、自閉症の特徴も多少あります。
発達遅延の子供が自分の思い通りにいかないときに癇癪を起したりするときには、
大きな声で怒鳴ったり決してしないようにしましょう。
しかし、自閉症の子供や発達遅延の子供でも感情があるので、それを相手に伝える方法を教えていきます。
私の場合には、子供が低年齢で、ある程度の言葉の理解ができるため、
Makaton(マカトン)というサインランゲージを使うようにしています。
私はゆっくりと言葉を話し、それに合わせてサインランゲージ(手話)を使います。
この方法で彼の場合にはかなり言葉を使って自分の意志を伝えられるようになりました。
癇癪を起したときには、それを無理やり押さえつけようとするともっとひどくなることがあるので、
子供のお気に入りのおもちゃ、見たり触ったりすると落ち着くものを与えます。
これも健常児と同じですが、まず癇癪を鎮めるための方法をいくつか用意しておきましょう。
癇癪が収まったら順を追って少しずつ説明していきます。
グローバル発達遅延の場合、記憶力はあっても、記憶された事象を上手につなぎ合わせることができません。
例えば、一年前の冬に園庭の水たまりが凍っていたことをずっと覚えていて、
一年中その場所へ行くと、「氷はどこ?」と聞いてきたりするのです。
寒いから氷ができる。暑いときには氷はできない。
ということは5歳になれば理解して覚えておけることですが、
そういった事象のつながりを理解することができません。
こういった具合に、事象や物事に対する反応が健常児とは全く違いますから、
その特徴を保護者は学んで、その子の世界の中を理解していけるように心がけましょう。
これを、健常の世界と発達遅延の世界の間に橋をかけると言っています。
ただし、発達遅延や自閉症があるからといって癇癪を完全に許してしまってはいけません。
これはまた健常児と同じで、癇癪を起せば思い通りになると思ってしまいます。
社会生活をなるべく円滑に送れるようになることを目指して、私たちは正しいトレーニングを与えて、
発達遅延がある子供たちのサポートに全力を尽くすことで前に進んでいけるのです。
現在はインターネットでも多くの情報を得ることができます。
今日できなかったことが明日はできるようになる。
少しずつですが、周囲の子供たちとは比べずにゆっくりと進んでいきましょう。